RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)を導入する際、「待機」という考え方は非常に重要です。特に、Webサイトからデータをダウンロードするような業務を自動化する場合、適切に待機を設定しないと、RPAが途中で止まったり、エラーを起こしたりする原因となります。
本記事では、RPAをスムーズに動作させるための「待機」の考え方と、具体的な待機アクションについて解説します。
RPAが途中で止まる理由とは?
たとえば、Webサイトにログインして請求書データを次々にダウンロードするRPAを作成したとしましょう。しかし、何もしないと高確率でRPAが途中で停止してしまいます。
なぜRPAは止まるのか?
RPAは、人間には感じ取れないほど高速に動作します。しかし、次のような理由でエラーが発生するのです。
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Webページの表示が完了する前に次の操作をしようとする
- サイトにログインしても、ページの読み込みが完了するまでには数秒のタイムラグがあります。
- RPAはその待機時間を考慮せず、画面が完全に表示される前にクリックを試みることがあります。
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ダウンロード処理が完了しないまま次のアクションに移る
- 「ダウンロードしています…」と表示されている間に次のクリック動作に進んでしまうと、ダウンロードが正常に完了しないことがあります。
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クリック対象のボタンがまだ表示されていない
- たとえば、あるボタンがポップアップとして後から表示される場合、RPAはそのボタンが出現する前にクリックしようとしてしまいます。
このような問題を防ぐために、RPAでは「待機」の設定が必須となります。
RPAにおける「待機」アクションの種類
RPAツールには、さまざまな「待機」アクションが用意されています。パワーオートメイトを例として、代表的なものをいくつか紹介します。
① 固定秒数待機(オーソドックスな方法)
最もシンプルなのが、「〇秒間待機する」という方法です。
使いどころ
- ページの読み込みやダウンロード処理に 一定時間かかることが分かっている 場合
デメリット
- 必要以上に待機すると時間の無駄になる
- サイトの読み込み時間が変動する場合、適切な秒数を設定しづらい
② 画像を待機(「画像が表示されるまで待つ」)
指定した画像が画面に出現するまで、RPAをストップさせる方法です。
使いどころ
- 「ダウンロード完了」のような 特定のメッセージやボタンが表示されるのを待つ 場合
- ページの読み込みが遅い サイトでクリックボタンの出現を待つ 場合
メリット
- 無駄な待機時間を減らせる
- 確実に次の操作を実行できる
デメリット
- サイトのデザイン変更に弱い(ボタンの見た目が変わると機能しなくなる)
待機
③ 「UIオートメーション」の「画像が存在する場合」アクション(IF関数のように使う)
このアクションは、Excelで使うIF関数に近い動作をします。
「もしこの画像が表示されたら、次のアクションに移る。表示されていなかったら、別のアクションをする」 というロジックで動作します。
使いどころ
- クリックボタンが 表示されるかどうか不明な場合(例えば、エラーメッセージが出るケースと出ないケースがある場合)
- ページの表示速度が 変動するサイト で、確実に次のステップへ進めたい場合
メリット
- 無駄な待機を最小限に抑えられる
- 条件分岐ができるので、状況に応じた対応が可能
デメリット
- 設定が少し複雑になる
RPAの「待機」を適切に設定して、スムーズな業務自動化を実現しよう!
RPAは非常に便利なツールですが、適切な「待機」を設定しないと、処理が途中で止まるなどのトラブルが発生しやすくなります。
特にWebサイトを操作する場合は、ページの読み込み時間やダウンロード処理の完了を考慮し、「秒数待機」「画像を待機」「UIオートメーションの画像判定」などの方法を活用することが重要です。
「うちの会社にはITに詳しい人がいないから…」と導入をためらっている方も、これらの基本的なテクニックを知るだけで、RPAの導入がグッと現実的になります。まずは、小さな業務から試してみましょう!
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