請求書や契約書など、毎月決まった時期にメールで届く書類を管理するのは大変です。特に、何通ものメールが届く場合、手動で添付ファイルを保存するのは手間がかかり、ミスの原因にもなります。
そんなときに便利なのが、自動化ツールを使ったファイル保存です。
本記事では、Power Automate Cloud(クラウドフロー)、Power Automate Desktop(PAD)、Google Apps Script(GAS)の3つのツールを比較し、それぞれのメリット・デメリットを解説します。
自分に合った方法を見つけ、業務効率化に役立ててください。
Power Automate Cloud(クラウドフロー)とは?
Power Automate Cloud(クラウドフロー)は、Microsoftが提供するクラウドベースの自動化ツールです。特に、OutlookやSharePoint、OneDriveといったMicrosoft製品と連携しやすいのが特徴です。
クラウドフローを使ったメールの添付ファイル保存手順
-
トリガーの設定
-
「Outlookの新着メール(V3)」をトリガーとして設定します。
-
-
条件分岐を追加
-
「添付ファイルがある」条件を設定し、該当するメールのみ処理を実行します。
-
動的コンテンツは/を入力すると設定できます。
-
-
添付ファイルを保存
-
OneDriveやSharePointに添付ファイルをアップロードするアクションを追加します。今回は、OneDrive for Bisinessの「ファイルの作成」アクションを追加し、ファイルコンテンツを「添付ファイルコンテンツ」とします。
▼全体フロー
-
クラウドフローのメリット・デメリット
✅ メリット
-
スケジュール実行が不要で、新着メールをリアルタイムで処理可能。
-
OneDriveやSharePointと連携しやすい。
-
ノーコードで設定可能。
❌ デメリット
-
Power Automateのライセンスが必要(無料プランには制限あり)。
-
ローカルPCへの保存には対応していない。
-
-
Power Automate Desktop(PAD)とは?
Power Automate Desktop(PAD)は、Microsoftが提供するデスクトップ自動化ツールです。ノーコードで操作できるため、プログラムの知識がなくても簡単に自動化できます。特に、Outlookを使用している場合に便利です。
PADを使ったメールの添付ファイル保存手順
-
Outlookを起動
-
Power Automate Desktopで「Outlookを起動する」アクションを追加します。
-
-
Outlookからメールを取得
-
「メールメッセージを取得」アクションを追加し、以下の設定を行います。
-
メールフォルダー: 受信トレイ
-
取得条件: 未読メールのみ取得
-
添付ファイル: 添付ファイルを保存する設定
-
-
-
添付ファイルを保存
-
指定したフォルダに添付ファイルを保存します。
-
PADのメリット・デメリット
✅ メリット
-
ノーコードで簡単に設定可能。
-
ローカル環境に直接保存できる。
❌ デメリット
-
無料版ではスケジュール実行ができないため、手動でフローを実行する必要がある。
-
Windows環境での利用が前提。
※クラウドフロー、デスクトップフローいずれの場合も複数添付ファイルが存在してもすべて取得します。
▼Power Automate クラウド版はM365ユーザーは無料
![]() |
【自動更新】Microsoft 365 Personal AI機能搭載 1年版|Win/Mac/iPad|インストール台数無制限(同時使用可能台数5台) 新品価格 |
Google Apps Script(GAS)とは?
Google Apps Scriptは、GmailやGoogle DriveなどのGoogleサービスを自動化できるスクリプト言語です。Gmailを使っている場合、PADよりも柔軟にメール処理が可能で、スケジュール実行(定期実行)ができるのが大きな特徴です。
▼【参考】GASとは?
GASを使ったメールの添付ファイル保存手順
-
Googleスプレッドシートを開き、Apps Scriptを起動 Googleスプレッドシートから「拡張機能」→「Apps Script」を開きます。
-
スクリプトの入力 以下のコードをスクリプトエディタに入力します。このコードは、Gmailで件名に「請求書」が含まれ、添付ファイルがある未読のメールを検索し、その添付ファイル(PDFのみ)をGoogle Driveに保存します。
function saveAttachments() {// 件名に「請求書」が含まれ、かつ添付ファイルがある未読メールを検索var threads = GmailApp.search('is:unread subject:請求書 has:attachment'); // 件名に「請求書」が含まれるメールを検索
// 各スレッドをループthreads.forEach(function(thread) {var messages = thread.getMessages();// メールごとに処理messages.forEach(function(message) {var attachments = message.getAttachments();// 添付ファイルがあればPDFのみドライブに保存attachments.forEach(function(attachment) {// PDFファイルかどうかを判定(MIMEタイプでチェック)if (attachment.getContentType() === 'application/pdf') {var file = DriveApp.createFile(attachment);Logger.log('保存したPDFファイル: ' + file.getName());}});});
// メールを既読にする(スレッド全体を既読にする)thread.markRead();});} -
トリガーを設定 このスクリプトを定期的に実行するために、トリガーを設定します。以下のコードで、毎日14時に実行するトリガーを作成します。function createTimeDrivenTriggers() {
// 既存のトリガーを削除(重複防止のため)var triggers = ScriptApp.getProjectTriggers();for (var i = 0; i < triggers.length; i++) {if (triggers[i].getHandlerFunction() === 'saveAttachments') {ScriptApp.deleteTrigger(triggers[i]);}}
// 毎日14時に実行するトリガーを作成ScriptApp.newTrigger('saveAttachments').timeBased().everyDays(1) // 毎日.atHour(14) // 14時.create();}これで、毎日14時に自動的に未読メールの添付ファイルが保存されるようになります。
GASのメリット・デメリット
✅ メリット
-
定期的なスケジュール実行が可能。
-
Google Driveに直接保存できるため、クラウド管理がしやすい。
-
Gmailを活用した自動化がスムーズ。
❌ デメリット
-
プログラミングの知識が必要。
-
ローカルにファイルを保存する用途には向いていない。
クラウドフロー vs PAD vs GAS|どれを選ぶべき?
ツール | 習得のしやすさ | スケジュール実行 | 保存先 | 対応メール |
---|---|---|---|---|
Power Automate Cloud(クラウドフロー) | ノーコード | 可能(リアルタイム) | OneDrive, SharePoint | Outlook |
Power Automate Desktop(PAD) | ノーコード | 不可(手動実行) | ローカルPC | Outlook |
Google Apps Script(GAS) | プログラミングが必要 | 可能(定期実行) | Google Drive | Gmail |
こんな場合はクラウドフローがおすすめ
✔ Outlookを使用している ✔ クラウドストレージ(OneDriveやSharePoint)に保存したい ✔ リアルタイムでメールを処理したい
こんな場合はPADがおすすめ
✔ Outlookを使用している ✔ ローカルPCにファイルを保存したい ✔ ノーコードで簡単に設定したい
こんな場合はGASがおすすめ
✔ Gmailを使用している ✔ Google Driveでファイルを管理したい ✔ 自動スケジュール実行が必要
まとめ
Power Automate Cloud(クラウドフロー)、Power Automate Desktop(PAD)、Google Apps Script(GAS)を比較し、それぞれの特徴を紹介しました。
-
クラウドフローはリアルタイム処理が可能で、OneDriveやSharePointとの連携が強みです。
-
PADはノーコードで簡単に使えますが、スケジュール実行ができません。
-
GASはプログラミングの知識が必要ですが、スケジュール実行が可能でクラウド管理に向いています。
どのツールを選ぶかは、使用環境や保存先の要件によります。自分に合ったツールを選び、業務効率化を進めていきましょう!
▼メールを下書き保存するなら?Power Automate Cloud or Desktop or GAS比較
▼Power Automate Cloudでダウンロードした添付ファイルを使って
そのまま第三者へメールを送る(One Driveにファイルが入ったら自動送信)
▼Power Automate Desktopでダウンロードした複数の添付ファイルをつけて送信
▼GASでダウンロードした添付ファイルをそのままSlackへ通知
▼この記事が役に立ったらブックマークをお願いします
▼詳細はこちらをクリック▼
![]() |
はじめてのPower Automate for desktop―無料&ノーコードRPAではじめる業務自動化 新品価格 |
![]() |
詳解! Google Apps Script完全入門 [第3版] 新品価格 |