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経理の入金消込作業を自動化!Power Automate Desktopの活用法(RPA導入)

経理の入金消込作業を自動化!Power Automate Desktopの活用法(RPA導入)

経理業務では、月末や支払期限日には大量の入金処理が発生します。銀行データと売上明細データを照合し、入金があった場合に手作業でチェックするのは非常に手間がかかります。ミスが許されない業務のため、効率化と正確性の向上は重要です。

本記事では、Microsoftの「Power Automate Desktop(パワーオートメイトデスクトップ)」を活用し、簡易的な入金消込作業を自動化するRPA(Robotic Process Automation)を作成しました。作業を効率化し、業務負担を軽減したい方はぜひ参考にしてください。

(本記事では少し複雑な作業を含むため、「Loopとは?」「変数とは?」に関する記事を事前にご確認いただくことをおすすめします。)

keiridx.net

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データの用意

まず、銀行データと売上データを用意します。

ここでは銀行データをファームバンキングからCSV出力し、フィルタリングで出金額が出ている欄を除いたという想定です。

▼銀行データ

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売上データに前回の入金時の備考欄(※カブシキガイシャアイウエオなどの部分)と、前回差し引かれた手数料額が紐づいている想定です。

▼売上データ

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取引先が一致していたら入金の消込をしたいので、銀行データの取引内容と、売上データの銀行名が一致、かつ銀行データの入金列と売上データの売上額列(もしくは売上額-手数料額)が一致なら銀行データに「入金済」と表示するように設定します。

フロー全体の流れ

銀行データと売上データのレコードをループ処理し、一致する条件が見つかった場合に対応する処理を実行します。

経理の入金消込作業を自動化!Power Automate Desktopの活用法(RPA導入)

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以下の手順で自動化を進めていきます。

EXCELワークシートを読み取る

まず、銀行データと売上データをEXCELから読み取ります。

銀行データの読み取り

    • ワークシート内のすべてのセルの値を取得し、変数dtBankに保存します。経理の入金消込作業を自動化!Power Automate Desktopの活用法(RPA導入)

  • 売上データの読み取り

    • ワークシート内のすべてのセルの値を取得し、変数dtSalesに保存します。

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      ※どちらも最初の行に列名が含まれていますにチェックを入れる

② 変数の割り当て

ループ処理後、書き込みを行う行を特定するために、LoopIndex2を変数として設定します。

  • 2行目以降に書き込むため、LoopIndex2を使用します。

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③ 銀行データのループ開始

ループの閉じる部分と作業を入れ込む部分を誤ると正常に動作しませんので、最初のフロー全体の流れを見ながらループを追加していってください。

  • %dtBank%の各行をbankRowとしてループ処理します。

④ 売上データのループを追加

  • %dtSales%の各行をsalesRowとしてループ処理します。

⑤ IF条件でデータの一致を確認

  1. 銀行名の一致を確認

    • IF %salesRow['銀行名']% = %bankRow['取引内容']% の場合、銀行データのF列%LoopIndex%行(初期値2、ループするたびに+1)に、%salesRow['取引先NO']%を書き込みます。

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  2. 売上額と入金額の一致を確認

    • IF %salesRow['売上額']% = %bankRow['入金']% の場合、銀行データのG列%LoopIndex%行に「入金済(一致)」と書き込みます。

      経理の入金消込作業を自動化!Power Automate Desktopの活用法(RPA導入)

⑥ IF条件で手数料控除後の入金額を確認

  • 売上額から手数料を差し引いた金額と入金額が一致する場合、「入金済(手数料)」と書き込みたいので、以下の手順を実行します。

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  • 売上額と手数料額を数値に変換し、差額を計算します。

    • %salesRow['売上額']% を数値変換し、TextAsNumber に格納します。

    • %salesRow['手数料額']% を数値変換し、TextAsNumber2 に格納します。

    • NewVar = %TextAsNumber - TextAsNumber2% とし、売上額から手数料を引いた金額を算出します。

  • IF %bankRow['入金']% = %NewVar% の場合、銀行データのG列%LoopIndex%行に「入金済(手数料)」と書き込みます。

⑦ ループ処理の終了

売上データのループを抜けた後、銀行データのループ内で%LoopIndex%+1を実行し、次の行の処理へ移行します。

⑧実行確認

実行すると、銀行データのF列に取引先NOが、G列に入金の消込状況(入金額が完全一致なら一致、手数料差額が発生している場合は手数料と記載)が転記されました。売上データに取引先ナンバーが登録されていない場合は、空欄となり、取引先NOがあっても入金額が一致していない場合は空欄になります。

経理の入金消込作業を自動化!Power Automate Desktopの活用法(RPA導入)

この例だと、カ)エーピーシーは500000円と50000円に分けて入金してきている(売上データは550000円になっている)ので、余裕があれば合算額が一致なら追記するアクションを追加しカスタマイズしても良いかもしれません。

また、入金済となったものについては会計ソフトに仕訳を転記したりといった応用も可能です。

 

▼ループ処理とIFの設定が難しい場合は、銀行データと売上データを開くアクションを追加した後、下記のコードをCtrl+VでMainの欄に貼り付けてみてください。

アクションが追加されるはずです。

▼サンプルコード

SET LoopIndex TO 2
LOOP FOREACH bankRow IN dtBank
    LOOP FOREACH salesRow IN dtSales
        IF salesRow['銀行名'] = bankRow['取引内容'] THEN
            Excel.WriteToExcel.WriteCell Instance: ExcelInstance_bank Value: salesRow['取引先NO'] Column: $'''F''' Row: LoopIndex
            IF salesRow['売上額'] = bankRow['入金'] THEN
                Excel.WriteToExcel.WriteCell Instance: ExcelInstance_bank Value: $'''入金済(一致)''' Column: $'''G''' Row: LoopIndex
            ELSE
                Text.ToNumber Text: salesRow['売上額'] Number=> TextAsNumber
                Text.ToNumber Text: salesRow['手数料額'] Number=> TextAsNumber2
                SET NewVar TO TextAsNumber - TextAsNumber2
                IF bankRow['入金'] = NewVar THEN
                    Excel.WriteToExcel.WriteCell Instance: ExcelInstance_bank Value: $'''入金済(手数料)''' Column: $'''G''' Row: LoopIndex
                END
            END
        END
    END
    Variables.IncreaseVariable Value: LoopIndex IncrementValue: 1
END


まとめ

本記事では、Power Automate Desktopを活用して銀行データと売上データの照合を自動化する方法を紹介しました。

手作業で行っていた入金消込作業を自動化することで、業務の負担を大幅に軽減し、正確性を向上させることが可能です。

Power Automate Desktopは、さまざまな事務処理の自動化に活用できる便利なツールです。ぜひ本記事を参考にし、業務の効率化に役立ててください。

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