Power Automate Desktop(PAD)は、業務効率化のために非常に便利なツールです。特にExcelの操作を自動化する際には、様々なアクションを活用して作業を効率化できます。しかし、Excel操作中には予期しないエラーが発生することがあり、フローが途中で止まってしまうことも少なくありません。今回は、よく遭遇するエラーとその対処法について解説します。
① 「UI要素が見つかりません」エラー
原因: このエラーは、Power Automate Desktopが指定したUI要素(例えば、Excelのウィンドウ)を見つけることができない場合に発生します。主な原因は、Excelのウィンドウ名が変わったり、ウィンドウにフォーカスが合っていないことです。通常レコーダーでUI要素を取得しながら動作していくと、たとえば「test.xls」のファイル名が「sales.xls」と変わっただけでも、正常にUIを取得してきてくれなくなります。
対策:
- ウィンドウにフォーカスするアクションを追加:Excelのウィンドウをアクティブにするアクションを追加することで、Power Automate Desktopが正しくウィンドウを操作できるようになります。
- ウィンドウタイトルやクラス名を再確認:たとえば、Excelなら*Excel*、Google Chromeなら*Google Chrome*など、取得するタイトルを設定します
これらの方法で、特定のウィンドウにフォーカスをあて、UI要素が取得できない問題を解消することができます。
② 「テキストを有効な数値に変換できません」エラー
原因: 後続のアクションで数値変換を試みた場合に、取得したテキストが数値形式でない場合に発生します。特に、Excelから読み取ったデータに空白(数値ではない)のデータが含まれていると、空白を数値に変換できずエラーが発生することがあります。
たとえば上記のようなフローを組んでいて、ExcelDataの数値を計算して+1の値を求めたいとします。ところがExcelData中に空白行が混ざっているので、テキストを数値に変換アクションが実行できずエラーになります。
対策:
- 数値入力後に実行:Excelで数値が必要なセルにあらかじめ「0」などの数値を入力してから実行する方法があります。これにより、空白のセルを数値として扱うことを防ぎます。
- IF条件アクションを追加:空白が含まれる可能性のあるセルを処理する前に、IF条件アクションを使って空白の場合にはそのアクションをスキップすることができます。これにより、無効なデータが処理されるのを避けられます。
このように、数値の形式を整えることで、エラーを回避できます。
③ ファイルが開けない・保存できないエラー
原因: Excelファイルが開いたまま、または読み取り専用になっている場合に発生するエラーです。このエラーは、ファイルがロックされているために、Power Automate Desktopがアクセスできない場合に起こります。
対策:
- ファイルを閉じて再実行:最も簡単で効果的な方法は、Excelファイルを手動で閉じるか、Power Automate Desktopのフロー内でファイルを閉じるアクションを追加して、再度実行することです。
- ファイルのプロパティを確認:ファイルが読み取り専用になっていないかを確認し、必要であればファイルのプロパティを変更します。
ファイルのロックを解除することで、このエラーは解消されます。
④ ファイルまたはフォルダがコピーできない
原因: ファイルまたはフォルダのコピーアクションを実行しようとした際に、指定したパスが正しくない場合や、アクションが誤って選ばれている場合に発生します。特に、ファイルのコピーアクションにフォルダのパスが設定されている場合、このエラーが発生します。
上記の例では、コピーするファイルは何らかのファイル(test.xlsやtest.pdfなど)になっていなければならないところ、フォルダのパスが指定されているので、コピーできませんというエラーが返ってきます。Power Automate Desktopではファイルでもフォルダでもパスが書けてしまうので、パス自体の間違えはないのにエラーが出てしまう点で、この違いは非常に見つけにくかったです。
対策:
- ファイルとフォルダのパスを確認:コピー先のパスが正しいことを確認し、必要に応じて正しいパスを指定します。また、実行したいアクションが「ファイル」のコピーである場合、フォルダのパスが設定されていないか確認してください。
- ファイルアクションとフォルダアクションを分ける:ファイルをコピーする際に、誤って「フォルダ」を指定してしまうことがあります。この場合、ファイルコピーアクションには必ずファイルのパスを指定し、フォルダコピーアクションにはフォルダのパスを指定します。
これで、コピーできない問題を解決できます。
⑤ 「キー送信エラー」— キー送信時の失敗
原因: Power Automate Desktopで「キー送信」アクションを使用する際、指定したキー入力が対象のアプリケーションに送信されないことがあります。これが起きる主な原因は、アプリケーションがアクティブでない、またはキーボードの入力がタイミングよく処理されていない場合です。
対策:
- アクティブウィンドウを指定:キー送信を行う前に、必ず対象のアプリケーションウィンドウにフォーカスを当てるアクションを追加します。これにより、入力が確実に送信されます。
- 遅延を追加:キー送信後に適切な遅延を入れることで、アプリケーションが入力を処理する時間を確保できます。これにより、タイミングの問題を解決できます。
キー送信時のエラーを回避するためには、対象アプリケーションの状態とタイミングをしっかりと確認しましょう。
⑥ WEBの待機エラー — ページ読み込みの待機不足
原因: Power Automate DesktopでWEB操作を行っている際に、「ページがまだ完全に読み込まれていないのに次のアクションが実行される」といったエラーが発生することがあります。特に、WEBページが完全に読み込まれていない状態で次の操作を行おうとすると、エラーが発生します。
対策:
- 待機アクションを追加:WEBページの読み込みが完了するのを待つアクションを追加します。例えば、「ウェブページのコンテンツを待機」アクションを使用することで、ページが完全に読み込まれた後に次のアクションを実行できます。
また、場合によって画像待機や、その他の待機を組み合わせて使ってみてください。待機については下記の記事でも説明しています。
keiridx.net
WEB操作時の待機エラーを解消するためには、ページ読み込みのタイミングを調整することが重要です。
⑦ 拡張機能が無効になっている
Power Automate Desktopは頻繁にアップデートされますが、アップデートのたびになぜか拡張機能が無効になることがあります。
Power Automateは頻繁に更新されるため、バージョンアップに伴い、以前のフローが動かなくなることがあります。
例えば、
といったトラブルが発生することがあります。
このような問題が発生した場合は、以下の手順で拡張機能を確認してください。
💡 Power Automateの拡張機能を確認する方法
もしオフになっている場合は、ONに切り替えて再試行してみましょう。
最後に
Power Automate Desktopを使用する中で、Excel操作時には様々なエラーが発生することがありますが、正しい対処法を知っていることで問題を素早く解決できます。私も未だにエラー原因が探せず、何時間も悩まされることもしばしばです。しかし、上記の対処法を実践することで、エラーが解消され、スムーズにフローが動作するようになります。
もしこれらのエラーが発生した際は、まず対策を試してみてください。
それでも解決しない場合は、公式のサポートやコミュニティに相談するのも良いでしょう。Power Automate Desktopを活用して、業務の効率化を進めていきましょう!
▼読み取ったデータが空白判定されない問題はこちら
▼PDFからテキストを取得できない問題はこちら
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