ChatGPT APIを使った「=GPT()」関数。
Googleスプレッドシート上で直接AIに指示を送り、出力結果を取得できるという画期的な仕組みですが、これを経理の自動仕訳に使えないか?と検証してみました。
今回は、実際にGPT関数を使って経理仕訳の分類をAIに任せてみた結果と、導入時に注意すべきポイントについてご紹介します。
▼GPT関数の記事はこちら
GPT関数の仕組みと使い方
まず、GPT関数とは、Google Apps Script(GAS)経由でChatGPT APIを呼び出し、関数としてスプレッドシート上で使えるようにしたものです。
たとえば、以下のような数式をセルに記述することで、AIが内容を判断して仕訳科目を提案してくれます。
ただし、シンプルな指示ではAIの判断が揺れたり、余計な説明が入ってしまったりと、思ったように出力されませんでした。
試行錯誤したプロンプトとその効果
最終的には、業種を「ラーメン店」と明示した上で、分類ルールと出力ルールを明記することで精度が安定。
一方で、「ケーキ」や「ダウンジャケット」など、経費か私物か曖昧なものは「材料仕入」や「福利厚生費」と判断したり、「不明」と返してくることもあり、人間らしい迷いも感じられます。
(※この場合、経理的には「不明」が正解ですが、もう少しプロンプトの工夫が必要なようです)
問題点:トークン消費と再計算の罠
最大の課題は、コストの問題です。
GPT関数は、1セルごとにAPIを呼び出しており、1件あたり数百トークンが使われます。加えて、スプレッドシートの自動再計算機能により、変更や再表示のたびに再実行されることがあり、トークンが一気に消費される事態に。
実際、プロンプト調整中にいきなりAPI使用量が跳ね上がり、月の上限である$5(約800円)に到達してしまいました。
上の画像でエラーが発生しているのはそのためです。エラーのない状態の出力もスクショしておけばよかったですね…。
▼GPT関数使用当日だけトークン消費量が爆上がりしています。
実用性と今後の展望
今回の検証で得られた結論は次の通りです。
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GPT関数による仕訳分類はある程度有効だが、出力の安定性や精度に課題が残る
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長文プロンプトが必要な分、1件あたりの処理コストが高くなる
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自動再実行によるトークン浪費は、実務利用において致命的
現時点では「毎月定額でAI関数が使えるGoogle公式の=AI()関数」のような低コスト機能の登場が待たれるところです。
APIの課金システムについて
OpenAIのChatGPT APIは従量課金制ですが、自分で「月額上限(Monthly Usage Limit)」を設定することができます。今回のように$5上限を設定しておけば、それを超えることはありません。
使用しなければ課金は発生せず、使った分だけ支払う設計になっています。
なお、月の使用額は毎月1日(日本時間では午前9時ごろ)にリセットされるため、来月にはまたAPIが利用できるようになります。
まとめ
GPT関数による経理自動仕訳は、技術的には可能であり、将来的には非常に期待できる領域です。
ただし、現在はトークン消費や再実行リスクなどの課題から、実務で使うにはコスト面・安定性ともに改善の余地ありという印象でした。
「この精度と柔軟性で、もう少し安く使えたら…」というのが本音です。
来月また上限がリセットされたら、別の形でAI活用の可能性を探ってみたいと思います!
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