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AI関数で経理自動仕訳を試してみた|ChatGPT×GoogleスプレッドシートでAIに仕訳を任せられる?

AI関数(GPT関数)で経理自動仕訳を試してみた|ChatGPT×GoogleスプレッドシートでAIに仕訳を任せられる?

ChatGPT APIを使った「=GPT()」関数。
Googleスプレッドシート上で直接AIに指示を送り、出力結果を取得できるという画期的な仕組みですが、これを経理の自動仕訳に使えないか?と検証してみました。

今回は、実際にGPT関数を使って経理仕訳の分類をAIに任せてみた結果と、導入時に注意すべきポイントについてご紹介します。

▼GPT関数の記事はこちら

keiridx.net


GPT関数の仕組みと使い方

まず、GPT関数とは、Google Apps Script(GAS)経由でChatGPT APIを呼び出し、関数としてスプレッドシート上で使えるようにしたものです。

たとえば、以下のような数式をセルに記述することで、AIが内容を判断して仕訳科目を提案してくれます。

=GPT("あなたは経理担当者です。次の文章について、【消耗品費】【福利厚生費】【材料仕入】【通信費】【水道光熱費】【旅費交通費】のいずれかから最も適切な1つを出力してください。入力:" & B2)

ただし、シンプルな指示ではAIの判断が揺れたり、余計な説明が入ってしまったりと、思ったように出力されませんでした。


試行錯誤したプロンプトとその効果

最終的には、業種を「ラーメン店」と明示した上で、分類ルールと出力ルールを明記することで精度が安定。

-------------------------------------

=GPT("あなたはラーメン店の経理担当者です。
以下の文を【消耗品費】【福利厚生費】【材料仕入】【通信費】【水道光熱費】【旅費交通費】の中から1つだけ選び、出力してください。

【分類ルール】
- 食材:材料仕入
- 店舗用品(割り箸・洗剤など):消耗品費
- 調理器具や備品:備品
- 光熱費(電気・ガス・水道):水道光熱費
- 制服や作業着(長靴・エプロンなど):福利厚生費
- 事務用品:消耗品費
- 差し入れ(お菓子・ジュースなど):福利厚生費
- 通信会社(KDDIソフトバンクなど):通信費
- ソフト使用料・ライセンス料:通信費
- ホテル・駐車場代:旅費交通費

【出力ルール】
- 科目名1語のみ(例:消耗品費)
- 【】や補足は不要
- 判断不能な場合は「不明」と返す。推測は禁止。

入力:" & B2)
-------------------------------------

これにより、例えば「鶏肉」は材料仕入、「Softbank」は通信費と、しっかり期待通りの分類をしてくれるようになりました。通信費はAUなど表記揺れがあってもきっちり対応してくれ、M365使用料なども意味をくみ取って対応。

一方で、「ケーキ」や「ダウンジャケット」など、経費か私物か曖昧なものは「材料仕入」や「福利厚生費」と判断したり、「不明」と返してくることもあり、人間らしい迷いも感じられます。

(※この場合、経理的には「不明」が正解ですが、もう少しプロンプトの工夫が必要なようです)

AI関数(GPT関数)で経理自動仕訳を試してみた|ChatGPT×GoogleスプレッドシートでAIに仕訳を任せられる?


問題点:トークン消費と再計算の罠

最大の課題は、コストの問題です。

GPT関数は、1セルごとにAPIを呼び出しており、1件あたり数百トークンが使われます。加えて、スプレッドシートの自動再計算機能により、変更や再表示のたびに再実行されることがあり、トークンが一気に消費される事態に。

実際、プロンプト調整中にいきなりAPI使用量が跳ね上がり、月の上限である$5(約800円)に到達してしまいました。

上の画像でエラーが発生しているのはそのためです。エラーのない状態の出力もスクショしておけばよかったですね…。

▼GPT関数使用当日だけトークン消費量が爆上がりしています。

AI関数(GPT関数)で経理自動仕訳を試してみた|ChatGPT×GoogleスプレッドシートでAIに仕訳を任せられる?


実用性と今後の展望

今回の検証で得られた結論は次の通りです。

  • GPT関数による仕訳分類はある程度有効だが、出力の安定性や精度に課題が残る

  • 長文プロンプトが必要な分、1件あたりの処理コストが高くなる

  • 自動再実行によるトークン浪費は、実務利用において致命的

現時点では「毎月定額でAI関数が使えるGoogle公式の=AI()関数」のような低コスト機能の登場が待たれるところです。


APIの課金システムについて

OpenAIのChatGPT APIは従量課金制ですが、自分で「月額上限(Monthly Usage Limit)」を設定することができます。今回のように$5上限を設定しておけば、それを超えることはありません。
使用しなければ課金は発生せず、使った分だけ支払う設計になっています。

なお、月の使用額は毎月1日(日本時間では午前9時ごろ)にリセットされるため、来月にはまたAPIが利用できるようになります。


まとめ

GPT関数による経理自動仕訳は、技術的には可能であり、将来的には非常に期待できる領域です。
ただし、現在はトークン消費や再実行リスクなどの課題から、実務で使うにはコスト面・安定性ともに改善の余地ありという印象でした。

「この精度と柔軟性で、もう少し安く使えたら…」というのが本音です。

来月また上限がリセットされたら、別の形でAI活用の可能性を探ってみたいと思います!

▼GASとChatGPTの連携でさらなるカスタマイズをしたい方はこちらの書籍もおすすめです。

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