業務効率化に生成AIを活用している人も多くいますが、最近では「生成AIを使うとバカになる」と、よく耳にするようになりました。
実際、米カーネギーメロン大学とマイクロソフトリサーチの共同研究によれば、職場でAIを頻繁に使用する人々のうち、72%が「AIツールを使うことで知的努力が減った」と回答しています(※参考記事)。
しかし筆者はむしろ、「生成AIの活用によって考える時間が増えた」と感じています。今回は、AIを使うと本当にバカになるのか?というテーマについて、実体験を交えて考察してみます。
AIの苦手を知れば、使い方は変わる
日常的にAIを使っていると、ある傾向に気づくようになります。それは、AIは「情報の背景や流れ、文脈的なつながり」を読み取るのがまだ得意ではない、ということです。
たとえば筆者は、業務効率化に関するシステム提案をChatGPTに依頼することがあります。すると、いくつかのアイデアが返ってきますが、そこで「考える力」が求められます。
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回答1について、「あ、これお客様が以前困っていたことに近い。実用性が高いかも」
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回答2は「GASを使う案だけど、ノーコードで簡単に済ませるならPADの方が適しているかも」
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回答2→3をハイブリッド運用したらスムーズにいくのでは?
このように、背景知識や実体験、目的との整合性をもとに「選び直す」「組み直す」作業が発生します。これはまさに“人間にしかできない思考”です。
AIは、事前に与えられた情報に基づいては答えられますが、「何が背景にあるか」「何が優先事項か」などを加味して自動的に判断することは、まだ不得手です。
つまり、AIの提案を鵜呑みにするのではなく、「AIの弱点を理解しながら、それをどう補完していくか」という視点が必要なのです。
日常の中にも“思考停止”リスクは潜んでいる
この傾向は、業務だけでなく日常生活にも現れます。たとえば恋愛相談や人生相談をAIにする場面を想像してみてください。ChatGPTは基本的にユーザーを肯定する回答をしますが、それをすべて信じ込んでしまうと、自己評価が過剰になったり、極端な思考に傾いたりする可能性もあります。
「AIは全肯定してくれるもの」という前提を理解し、鵜呑みにせず“自分で考える”ことが重要なのです。
AIの真価は「人間との協働」にある
AIは、苦手な部分を人間が補いながら使うことで、初めて真価を発揮します。
最近では、スレッドをまたいで記憶を保持するなど、ChatGPTの性能も向上していますが、それでも人間のように自然な流れで会話を理解し、複合的な情報を文脈としてつなげるのはまだ難しいのが現実です。
だからこそ、AIに任せっぱなしではなく「これはなぜこうなのか?」と問い直す力、「この要素とこの要素をどう組み合わせればいいか?」と構造を考える力が、AI活用のカギとなっていきます。
結論:AIは“考える力”を問う時代の道具
AIは、人間の思考を停止させるツールではありません。むしろ、使い方次第で“考える力”を強化するツールです。
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設計力(どう使うかを構築する力)
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判断力(提案の中から選び取る力)
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文脈理解力(背景と流れを読み解く力)
これらは、生成AIを活用するなかでむしろ強化されていく力です。
「考えない人」が淘汰されるのではなく、「考える人」がより強くなる時代が来ています。
それこそが、AIと共に生きる未来への道なのではないでしょうか。
AI時代を生き残るためには、AIに依存しすぎず、鵜呑みにせず、提示された情報が本当に正しいのかを考える力が必要です。
ぜひ、AIと対話しながら“思考すること”をやめず、これからの時代をしなやかに生き抜いていきましょう。
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