クレーム対応、特に謝罪文の作成は多くの担当者にとって心理的な負担が大きい業務のひとつです。
言葉選びに悩み、返信が遅れることでさらに状況が悪化してしまうことも少なくありません。
以前、当ブログでは「ChatGPT×Googleフォームで感情分析!否定的レビューを即通知するシステム」をGoogle Apps Script(GAS)で構築し、紹介しました。
これは、Googleフォームで集まった顧客のレビューをChatGPT APIで感情分析し、「ネガティブなご意見」があった場合に即座に担当者へメール通知するという仕組みです。
今回はこのシステムの次のステップとして、Power Automate Desktop(PAD)を使ってChatGPTから謝罪文の下書きを自動生成して保存する方法をご紹介します。
これにより、クレーム対応のスピードと品質が大幅に向上し、対応者の心理的負担を軽減することが可能になります。
手順① ChatGPT APIキーの取得
まずはOpenAIからChatGPTのAPIキーを取得し、Power Automate Desktopの変数に設定しておきます。
▼ChatGPTのAPIキーの取得方法はこちら
これは後のHTTPリクエストで必要になります。
手順② Power Automate Desktopでのフロー構築
1. Outlookの未読メールからネガティブレビュー通知を抽出
PADでOutlookを起動し、件名に【注意】ネガティブなご意見がありましたを含む未読メールのみを抽出します。
このメールはGAS+ChatGPTで送られてきたネガティブ通知メールで、本文には顧客のレビューが含まれています。
▼元のメールはこのような形です
2. プロンプトの設定
次に、ChatGPTに渡すプロンプトを変数に格納します。
以下のような内容が適しています:
以下の顧客からのレビューに対して、真摯な謝罪メールの下書きを作成してください。トーンは誠実かつ丁寧で、顧客の不満を認識し、改善の意志を示す内容にしてください。出力は【件名】【本文】の形で出力してください。
3. メッセージごとにループ処理
抽出したメールに対して以下の処理を行います:
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メール本文を取得
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テキスト解析で宛先メールアドレスを抽出し変数に保存(今回はMatch)
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本文の改行コードを「|」に置換(JSON整形時のエラー回避のため)
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トリミングでレビュー本文のみを抽出
4. ChatGPT APIへのリクエスト送信
準備が整ったら、以下の形式でChatGPTにPOSTリクエストを送信します:
5. ChatGPTの応答をメール下書きに保存
APIの応答内容から【件名】と【本文】を取得し、Outlookの下書きとして保存します。
宛先は先ほど抽出したお客様のメールアドレスを使用します。
実行結果:AIが生成した謝罪文をそのまま下書きに!
Power Automate Desktopを実行したところ、Outlookに以下のような謝罪メールの下書きが自動生成されました:
もちろん、下書きの内容は実際のレビュー内容に応じて微調整が必要ですが、ゼロから文面を考える必要がなくなるため、心理的負担が大きく軽減されます。
まとめ:クレーム対応もAI活用でやさしく効率化
GASでネガティブレビューを即通知し、PAD×ChatGPTで謝罪文を自動作成するこの流れは、
「レビュー分析 → 通知 → 初動対応」までをAIで一貫して支援できる、非常に実用的な仕組みです。
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クレーム対応を効率化したい
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担当者の心理的ハードルを下げたい
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謝罪文に一貫性と丁寧さを持たせたい
こうしたニーズを持つチームや企業に、ぜひ導入をおすすめしたいフローです。
さらにプロンプト次第では「返信トーンを3案提案(柔らかめ・標準・謝罪強め)」する仕組みも構築可能なので、ぜひチャレンジしてみてください。
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